習志野市長 宮本泰介 様
教育長 植松榮人 様
こども部 部長 加藤清一 様
2012年3月8日
子どもを放射能から守る会@習志野
習志野市の子ども達を放射性物質による被曝から守る為の要望書
2011年3月11日の東日本大震災によって発生した福島第一原発事故により習志野市内でも放射性物質の被曝リスクが高まっています。習志野で育つ、未来ある子どもたちの安全と健康を守るため、習志野市に所在する全ての幼稚園・保育所・学校の現場において、対策方針が共有され、対策が実施・徹底されるよう、指導・通知をお願いしたくここに要望いたします。
A【給食などの対策】
1、給食のメニュー作成の工夫(移行係数の低い食材の使用)
2、給食食材の選定(放射性物質に汚染されていない土地(産地)の食材
および 放射性物質測定後不検出の食材の使用)(※1)
3、2における食材調達が不可能な場合の柔軟なメニュー変更
4、給食の調理方法の工夫(放射性物質を除去する調理方法の選択)
5、調理後の給食をまるごと放射性物質の測定、結果の開示(※2)
6、児童及び保護者が自由に給食か弁当を選択できるような体制の整備
7、1から6が継続される為の、定例会などの開催(※8)
8、1から7に関して各施設の現在の対策状況アンケートの実施・結果の開示
B【校庭などの対策】
1、簡易放射線測定器の購入(各施設1台以上常備)(※3)
2、屋外(通学路含む)の放射線量の測定および放射線量マップの作成、
保護者への情報開示
3、屋内の空間線量の測定、保護者への情報開示(※4)
4、吸引による内部被爆対策の実施(校庭に水を散布、児童にマスク着用を
促す)(※5)
5、マイクロホットスポット対策(放射線量の高い場所への立ち入り制限
および除染)
6、除染マニュアルの策定(除染作業をする保護者らを無用な被曝から守る
為のもの) (※6)
7、除染用品の確保・提供(洗浄清掃・除草および表土除去に必要な作業
道具の常備)
8、遠足・郊外学習の選定(被曝リスクを避ける為に行き先や活動内容
および食材を 十分に検討)(※7)
9、1から8が継続される為の、定例会などの開催(※8)
10、1から9に関して各施設の現在の対策状況アンケートの実施・結果の開示
以上A、Bに沿うことで、子ども達の内部被曝と外部被曝の合計が年1ミリシーベルト以内(※9)となるように要望致します。
以上の点について、市としてのお考えを文書にてご回答をお願いいたします。
【要望理由などの補足説明】
(※1)給食食材の選定(放射性物質に汚染されていない土地(産地)の食材および放射性物質測定後不検出の食材の使用)について
セシウムが検出された食材に関し、基準値内ということで給食食材として使用するのではなく、発達著しい子どもへの影響及び保護者の不安低減の為、その食材を給食に使用しない運用を実施してください。
(※2)調理後の給食をまるごと放射性物質の測定、結果の開示について
現在、市内の園・学校で提供され、毎日子どもの口に入っている給食は、それ自体が測定されたものではなく、実態として安全性が確認されているものではありません。また、現在実施されている食材の少ない検体数のサンプル検査だけでは十分とは言えません。給食そのものを測定し、安全性を確認する動きは他自治体でも広がっています。また国もその方針を取る意向を示しています。可能な限り頻繁に給食の測定を行うこと、また、測定結果に応じて、産地変更・食材変更・メニュー変更を実施することが、真に安全なものを提供する観点から、重要だと考えます。また測定器の購入は、子どもたちを守るための重要な投資だと考えます。
(※3)簡易放射線測定器の購入(各施設1台以上常備)について
現状への対応、また今後の防災への観点からも、各施設に1台以上の放射線測定器の配備が必要です。それを用いて園・校内・通学路の詳細な放射線量マップを作成し、教員・保護者等に公開するよう、園・学校へ通知し、必要な支援をしてください。簡易型測定器は、他自治体が市民への貸し出しをしている機種、もしくは文部科学省が理科教材として推奨している機種から選定すればよいと考えます。
(文部科学省)「はかるくん」http://hakarukun.go.jp/html/line_up.htm
(※4)屋内の空間線量の測定、保護者への情報開示について
年間の外部被爆線量を正確に把握する為、公立・私立問わず、全ての学校、幼稚園、保育所、こども園、また子ども達が利用する公共施設については、屋内の空間線量も測定してください。
千葉市において計測した小学校では、地上1mの屋外と校舎内の放射線量が同じという結果があります。放射性物質が付着した砂埃が屋内に侵入しているためと思われますので、子どもたちが直接、放射性物質に接触しないように、モップによる床清掃の実施が必要です。また、屋外から砂埃を室内に持ち込まない指導も必要と思われます。さらに学童幼児にはマスク着用や手洗いうがいを奨励し、放射性物質を体内に取り込まないための指導が望まれます。
(※5)吸引による内部被爆対策の実施(校庭に水を散布、児童にマスク着用を促す)について
放射性物質の堆積物に接触したり吸入したりすることで内部被曝し、健康被害を起こすことが懸念されます。これらを防ぐために具体的な対策が必要です。既に習志野市の各学校におかれては「学校施設の砂ぼこり対策」として、グランドへの散水用として、校庭全体に水が撒けるように散水栓を設置されており、平常より散水を実施されていることと存じます。今後、吸引等による内部被爆軽減対策の一環として、風の強さや空気の乾燥状況などの天候の情報に留意して、散水の回数を増やすこと、児童へマスク着用を推奨する指導をしてください。
(※6)除染マニュアルの策定(除染作業をする保護者らを無用な被曝から守る為のもの)について
除染には、市の職員のほか、市民が参加するケースもありますので、適切な知識
と対応方法を周知した上で実施することが不可欠です。除染マニュアルには下記のような例があり、参考にできます。
(福島県)http://www.pref.fukushima.jp/j/tebiki0715.pdf
(我孫子市)
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/18,85739,c,html/85739/josen_manual_ABIKO.pdf
(※7)遠足・郊外学習の選定(被曝リスクを避ける為に行き先や活動内容
および食材を十分に検討)について
遠足や校外学習などの際の留意事項についてガイドラインをまとめ、各園・学校に、行き先や活動内容を決定する前に被曝をより避けられる選択肢を検討すること、事前の下見で活動実施予定場所の放射線量を測定し安全性を確認すること、さらに、活動実施時に、被曝のリスクを高めない配慮を検討することを通知してください。
(※8)定例会などの開催について
内部被曝のリスクについて知見を有する有識者を含む、行政、保護者、学校、教育委員会等による被曝低減対策定例会を開催し、子どもの被曝を低減する体制を作ってください。
市民として、市に要望するだけではなく、私たちが住む習志野が安全で子供が健やかに育てる環境を作っていけるよう、リスクを共有し、行政・市民が一緒になって考えていくことが必要だと考えています。そして、市にも、可能な限り、リスクをゼロに近づけていく努力をしていただきたいと願っています。そのために、市民と行政、学校関係者等と双方向のコミュニケーションを図っていく場を持ち、協力的に対策を進めていけることに期待しています。
(※9)子ども達の内部被曝と外部被曝の合計が年1ミリシーベルト以内に
ついて
現在の習志野市の方針では、外部被曝だけを考慮して年1ミリシーベルト以下にすることとされています。しかし、従来の国の法体系では、外部被曝だけでなく、内部被曝も併せて年1ミリシーベルト以下にするICRP(国際放射線防護委員会)に準拠した限度となっています。習志野市の現状の空間線量の値を考慮すれば、内部被曝を考慮しなければ、子どもへのリスクは大変大きくなります。よって、内部被曝を含めた追加被曝線量を年1ミリシーベルト以下におさえる為の、総合的な被爆の低減に努めるよう市の方針を定めていただきたいと考えます。
新潟県は、上記と同様の考えに基づき、内部被曝と外部被曝の合計値をふまえた規制値とするよう国に要望しています。
(新潟県HP)http://www.pref.niigata.lg.jp/seikatueisei/1320181214798.html